ARとは「現実世界を仮想的に読み取る技術」のことで、そこにデジタル情報を付与することで、新しい表現が可能になります。
例えばスマートフォンを平面にかざすと家具が現れたり、アプリでポスターをかざした際に画面上で動き出すなど、まるで現実に起こっているかのような体験ができます。
英語では「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)」で、その頭文字の略でAR(拡張現実)と呼ばれます。
本記事では、ARとはどんな技術・仕組みなのかや、ARが注目されている理由、ビジネスでの活用事例などを分かりやすくご紹介します。
また、クラウドサーカスでは「AR(拡張現実)で何ができるか分からない」「自社に近しい活用事例が知りたい」方に、AR活用事例集をご案内しています。
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目の前にある現実世界を仮想的に拡張するAR(拡張現実)。その意味や活用事例について、詳しくみていきましょう。
ARとは、スマートフォンやタブレット、サングラス型のARグラスを通して見ることで、世界を拡張する仕組みです。そこにデジタル情報を付加し、まるで現実世界にそのコンテンツがあるかのような表現することが可能です。
訳すと、ARとは「見えないものを現実世界に可視化させる」ことができる技術です。わかりやすい例は、「おうちにアイドルが出現する」「巨大ゴジラが現実世界に現れる」「ものが無くてもバーチャルでメイク・試着ができる」等です。
この技術を、人間が「面白い」「懐かしい」「怖い」「びっくりする」といった感情を動かすコンテンツ・企画に活用することで、最大限の価値を発揮するようになります。
ARが一般に広く知られるきっかけとなったのは、やはり「ポケモンGO」でしょう。
アプリダウンロード数は10億以上(2021年)で、誰もが思う「ポケモンがこの世界にもいたらいいな」をARを使って現実世界に表現。
子どもだけではなく、大人までも虜にするこのゲームの影響が大きく寄与しています。
エンターテインメント領域以外にも、ARは以下のような活用方法があります。
家具・アパレルの販促強化:「家具の試し置き」「バーチャル試着」といった、実際の製品を体験する必要なく、どこでも大きさや見た目を確認することが可能。
引用:amazon ARビュー
参考:ECサイトでのARの活用方法とは?バーチャル試着や家具の試し置きでの活用、導入事例も紹介!
消費者サービス・メーカーの販促強化:キャラクターを使った親子向け「体験型」イベントを、ARを使っておうちでも体験できるように。ブランドコミュニケーションや購買意欲の醸成が可能。
参考:1人3回以上AR体験!1日限定オンラインイベント「おうちでハッピーハロウィン」を開催
地域の災害・歴史を学ぶコンテンツ:洪水時の浸水シミュレーションをARで体験できたり、建造物の建築工程やその歴史をデジタルで再現、ストーリー型でわかりやすく認知拡大が可能。
参考:ウェザーニューズのARシミュレーション
参考:ARでできること
また、近しい言葉にVR・MRがあります。VR・MRとの違いについてはこちらの記事を参考にしてください。
AR・VR・MRの違い
実はここ数年で、VRやMRよりもARの注目度が世界的に高まってきています。その理由について3つにまとめました。
現在、Apple社やGoogle社などのデジタルプラットフォームを有する大企業が続々とAR分野に力を入れています。
Google社はGoogleマップの地図データを活用し、特定の位置・向きにデジタルコンテンツを表示することができる「VPS技術」の推進にも注力しており、話題になりました。
Apple社もARコンテンツ「United Visions」を公開し、今後さらにARを強化する姿勢を見せています。
また、社会現象にもなった「ポケモンGO」を開発したナイアンティック社CEO・ハンケ氏は
「VRヘッドセットを装着してしまうと現実世界から遮断された状態となってしまい、家族や友人を含め社会的なつながりを失ってしまう」
と指摘し、AR及びVPSの開発に注力していくことを表明しました。
また、国内でもARプロモーションツール「COCOAR」が2022年10月にVPS機能を追加するなど、積極的な動きを見せています。
このような動きがARが注目を浴びている要因のひとつとして挙げられます。
参考:The Metaverse is a Dystopian Nightmare. Let’s Build a Better Reality
参考:VPS機能(COCOAR)
他にARが注目を浴びている理由として、ゲーム以外の活用シーンが増加している点があります。
2016年には「ポケモンGO」が大ヒットし、世の中に「AR」という言葉や技術が広まりました。
他にも2000年代にはゲーム分野におけるAR導入事例が増加し、この頃からARが身近なものになったといえるでしょう。
現在はゲーム分野以外でも、ナビやキャンペーン、美容・ファッション、土木・建築、医療などあらゆる分野におけるAR導入事例が登場しています。
例えば、本格的なECサイトを開設・運営できるECプラットフォーム「Shopify」ではショッピング機能にARを導入し、3Dモデルを直接ブラウザ上でチェックできるようにしました。
この機能により、消費者は自宅にいながら購入前にリアルな商品を確認することができ、購入を迷う消費者の背中を押すことができます。
スポーツ分野では、スタジアムでのスポーツ観戦にARを導入することで観客が選手の情報を表示したり、アスリートのトレーニングをサポートしたりするなどの事例があるほか、ARを活用したスポーツ「HADO」も世界中に浸透しています。
ARはビジネスにおけるニーズが非常に高まっているという現状があります。
ARを活用することでエンゲージメントの向上及び販売促進などに有効です。
ARコンテンツを体験した約6割のユーザーは「購買意欲が上がる」と回答しており、ARを体験したユーザーの内約4割が人に紹介するというデータが明らかになっています。加えて、ARを導入することで顧客体験価値の向上と共に、販売促進も期待することが可能です。
またZappar社の調査によると、AR体験させることで注目を高め、記憶の定着も70%高まるという結果が出ており、このことからもARへの注目度が高まっています。
参照:第2回ARアプリに関する調査レポート(クラウドサーカス調べ)
参照:Zappar社公式サイト
専用のアプリ不要で気軽にARを体験できる「ウェブAR(WebAR)」の登場も、ARがより注目されるようになった要因です。WebARは2019年から飛躍的に進化しており、多くの企業がサービスを提供しています。
WebARはアプリ型ARと比べて個別のアプリ開発が必要なく、導入しやすいというメリットがあります。
加えて、ユーザー側もアプリをダウンロードする手間がなく、Webブラウザ上でそのままARを楽しめるため、体験までの導線がスムーズに行える点もウェブARの大きな魅力です。
2020年には新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外出自粛やイベントの中止・延期が相次ぐ中で、会場で楽しんでもらうコンテンツを自宅で楽しんでもらうコンテンツが必要になりました。
そこで気軽に利用できるWebARを活用してCX(顧客体験)向上を狙える「AR×『おうち時間』」企画へのニーズが一気に高まったのです。
ARはどのような種類があり、その仕組みはどうなっているのでしょうか。
まず、ARとは「現実情報をどう読み取るか」における技術です。厳密にはデジタル情報を表現する技術ではないのですが、よく混同されがちです。
そして、「現実情報をどう読み取るか」のAR技術には、情報型(GPS、時間など)と視覚型(画像、物体、空間・マーカーレス)があります。
一般消費者が体験する多くのARは視覚型の技術を活用したもののため、視覚型の技術についてご紹介します。
その中でも分類については様々な考え方がありますが、本記事ではARの種類=コンテンツを出現させるためのトリガー(が何か)と捉え、本章ではARの主な種類「マーカー型」と「マーカーレス型」について詳しく解説します。
参考:ARの種類
「マーカー型」ARは、画像や写真などをマーカーとして登録し、マーカーを認識するとARコンテンツ情報(動画や3D、マップ)が表示されるARです。画像認識型と呼ばれることもあります。
ARアプリを利用する場合、
「アプリでARカメラを起動➡画像マーカーを読み取る➡コンテンツが表示される」
という流れでARを体験できます。(例:ARアプリ「COCOAR」の場合)
ウェブARの場合は
「QRコードをスマホのカメラで読み取る、またはURLをクリックする➡ウェブARのカメラが起動する➡画像マーカーを読み取る➡コンテンツが表示される」
というフローです。
画像をトリガーにしているため、環境や照度に左右されやすいというデメリットがありますが、その反面、
・体験までの導線がスムーズで気軽に利用できる
・デジタル×アナログの表現を楽しんでもらえる
というメリットもあり、マーケティングや企業のプロモーションなどに多く利用されています。
マーカーは、看板や商品ラベル、本の表紙、ポストカードなど、様々なものを設定することが可能です。
これはQRコードと大きく違う点で、マーカーとして認識させるために新しくQRコードを貼り付ける必要がありません。
様々な既存のコンテンツを活用できるため、導線に工夫を凝らすことが可能です。
参考記事:ARマーカー(ar marker)とQRコードの違い
「マーカーレス型」ARはURLをクリックする、またはコンテンツIDを入力するなどの動作を行うことによって体験できるARです。
「空間認識」や「顔認識」も厳密にはマーカー型といえますが(空間内にある床や壁、物体を認識するため)、わかりやすく「特定の画像マーカーかどうか」で分類することも多いため、今回はこの分類としました。
ARアプリの場合、
「アプリでARカメラを起動➡コンテンツIDを入力・位置情報を読み取る など(アプリによって変わる)➡コンテンツが表示される」
という流れで体験できます。
ウェブARの場合は、
「QRコードをスマホのカメラで読み取る、またはURLをクリックする➡ウェブARのカメラが起動する➡コンテンツが表示される(写真・動画の表示、空間認識、顔・身体認識)」
という手順で楽しめます。
その中でも、空間認識ARは、ECサイトの家具・家電、インテリアなどの試し置きに導入されることが多く、顔認識ARはバーチャル試着・メイクなど、自宅にいながら店舗にいるような購買体験に導入されることが多いです。
その他にも、GPSで特定の位置でないと起動しないといったことや、時間帯別の制限なども読み取る情報として活用できます。
参考記事:ARの技術的な仕組み
具体的にビジネスにおいてARはどのように活用されているのでしょうか。8つの分野における活用事例をそれぞれご紹介します。
▼事例・体験サンプル集がまとまった資料はこちら
イベント・ライブ分野では、ベネッセコーポレーション様の活用事例をご紹介します。
同社は、児向け通信教材「こどもちゃれんじ」やアニメにでてくるしまじろうたちが出演する参加型のコンサート「しまじろうコンサート」でのフォトフレーム企画やプロモーション企画にてARを活用しています。
デジタルプロモーションに力を入れていこうという社内の動きが導入を後押しし、今回フォトブースやプロモーションなどにARを導入したそうです。
同コンサートでは、来場記念として写真撮影ができるようフォトブースが設置されるのですが、会場が混雑してしまうなどの課題があり、その解決のためにARフォトフレームを導入しました。
来場者全員に配布するグッズ(≒参加アイテム)に、アプリ「COCOAR(ココアル)」をかざすと表示されるオリジナルフォトフレームを用意することで、スムーズに来場記念の写真撮影を楽しんでもらえるようになりました。
また、チケット予約〜コンサート当日までのプロモーション企画にもARを活用しました。
コンサートのタイトルロゴにアプリ「COCOAR2」をかざすとしまじろうが出現する本施策では、しまじろうと一緒にダンスの練習ができる動画が視聴できることに加え、その様子を撮影することも可能です。
参加型の本コンサートでは、事前に歌やダンスを練習してきたユーザーのほうが、来場後の満足度が高くなる傾向があります。そのため、申込完了後〜コンサート当日までの空白の期間にユーザーに接触するためのプロモーション手法の1つとして、ARを活用したそうです。
同社はオリジナルARフォトフレームを活用することで、普段よりもスムーズに運営ができたと感じられたとのことです。
動画を視聴できるAR施策は、幼児向けのコンテンツと相性が良いと感じられ、今後は映画でのプロモーション施策など様々なシーンでARの活用を検討していきたいとしています。またSNSでの拡散施策など、デジタルプロモーションの一環としても幅広く活用できます。
参照:「しまじろうコンサートのARフォトフレームやAR動画にて活用!|ベネッセコーポレーション様」
パッケージ・商品分野では、ゴディバ ジャパン様の活用事例をご紹介します。
トライアルとしてウェブAR「LESSAR」を導入したクリスマス企画「ゴディバ グリッター クリスマス コレクション」では、商品パッケージにゴディバ ARカメラをかざすと、キラキラ輝く2種類のスペシャルコンテンツが出現するという企画を用意。
ゴディバの特設ページにアクセスし、各商品のARカメラを起動するとパッケージごとに異なったARコンテンツを体験できるほか、写真撮影をして壁紙にしたり、ハッシュタグをつけてSNSでシェアしたりして楽しんでもらえるようにしました。
ゴディバの公式アプリがリリースされたバレンタイン企画では、アプリ内に「Godiva AR Camera」を組み込み、今回のバレンタイン×AR企画をアプリ先行コンテンツとして配信。
AR体験を途切れさせないようにしたいとの目的から、ARカメラをアプリに組み込むことでユーザーが同じところからアクセスできるようになりました。
バレンタイン企画では、ARカメラを起動して商品パッケージにかざすと、パッケージに入っている6種類それぞれのチョコレートと連動したスペシャルコンテンツを視聴できるコンテンツが実施されました。
クリスマス企画のARコンテンツは、12月4日〜12月末までという短期間での配信の中、想像以上に多くの方に楽しんでもらえたことに加え、
ARを体験したうちの約20%のユーザーがAR撮影を楽しんだという成果が出ました。
社内からの評判も良く、今後はチョコレート以外の商品でのAR導入も検討しているとのことです。
参照:「ゴディバ(GODIVA)のクリスマス企画にウェブAR(WebAR)を採用。バレンタインでは公式アプリからもAR体験できるように」
地域活性化・観光PR分野では、高知県四万十町役場様の活用事例をご紹介します。
高知県を流れる「日本最後の清流」といわれる四万十川の中流域に位置する四万十町には、模型・フィギュアメーカーとして有名な海洋堂の歴史とコレクションが集められているミュージアム「海洋堂ホビー館四万十」があり、
そこを中心とした「まちおこし」の一環として、「COCOAR」を使ったARスタンプラリー企画が実施されました。
「シマント補完計画」では、「四万十シールラリー(以下、シールラリー)」と「ARスタンプラリー」2つの企画を同時に実施。
シールラリーは消費行動・購買行動を促すための施策として、ARスタンプラリーはまち歩きや観光地の誘導施策として実施されました。
ARスタンプラリーは、10ヶ所のうち6ヶ所のスタンプを集めるとシマント補完計画オリジナル手ぬぐいがもらえるという企画で、青コースと赤コースの中から達成したコースの色の手ぬぐいがプレゼントされるという内容です。
ARスタンプラリー企画では、青と赤どちらもコンプリートするユーザーや、県外から参加したユーザーもいて、20代〜50代の幅広い年代層の約1,000人近くのユーザーにコンプリートしてもらうという成果が出ました。
また、新型コロナ感染症拡大防止のため、自身のスマホを利用した非接触型施策として活用できることや、家族や友達などグループ単位で気軽に回遊してもらえるというメリットから、「シマント補完計画 Season2」でも引き続きARスタンプラリーを導入し、動くARフォトフレームを配信したとのこと。
ARフォトフレームで撮影した写真を、拡散力のあるSNSでシェアしてもらうことで、顧客満足度の向上やプロモーション効果も期待できそうです。
参照:「まちおこしの一環としてARスタンプラリー企画を採用。エヴァンゲリオンの企画で幅広い層を集客|高知県四万十町役場様」
学校におけるAR活用事例では、岐阜聖徳学園大学様の事例をご紹介します。
新型コロナウイルス感染拡大の影響から入学式の参加者を制限し、オンライン配信を実施した同大学では、入学式のフォトフレーム配信にウェブAR「LESSAR」を活用することで参加形式に捉われず思い出作りできる企画を実現しました。
例年「入学式」の文字が書かれた看板横で記念撮影を行う新入生が多く、コロナ禍における密集する状態が懸念されていました。
そこで、どこでも記念撮影を楽しめるARフォトフレームを導入することで、看板横での記念撮影のタイミングを分散し、密を回避したほか、
動画配信で入学式に参加した新入生やその家族も自宅で楽しめる入学式の記念撮影を実現。
参加形式に関わらず全員が思い出作りをできる企画が実現できたそうです。
ARフォトフレーム企画の実施は入学式当日配布のチラシ、公式HPやSNSで告知を行ったとのことで、新入生850名のところ、入学式当日のフォトフレームのアクセス数は約500アクセス、撮影回数は約200回となり、多くのユーザーに体験してもらったことがわかります。
入学式後もフォトフレームのアクセス数は伸び、継続的に楽しんでもらえているようです。また新入生の間でもARフォトフレームは好感触のようで、初対面の新入生たちの話のきっかけにもなったとのことです。
商業施設・飲食店における活用事例では、タリーズコーヒージャパン株式会社様の施策をご紹介します。
全国の店舗でトムとジェリーとのコラボキャンペーン「トムとジェリー 桜舞うスペシャルコーヒータイム」を実施。
本キャンペーンにおいて「LESSAR」を活用し、店舗での体験をよりリッチに楽しんでもらうほか、SNS投稿を促し、認知度拡大を狙いました。
トムとジェリーとのコラボキャンペーン「トムとジェリー 桜舞うスペシャルコーヒータイム」では、対象商品購入時に印字されるレシートのQRコードをスマートフォンで読み込むと、お花見したり、桜の中でかけっこをしたりするトムとジェリーのフォトフレームが、ランダムにARで出現するコンテンツを用意したそうです。
トムとジェリーのファン層に興味を持ってもらうことに加え、店舗でできる体験を充実させ、SNSにその体験を投稿してもらって認知度をさらに広げることを期待してARフォトフレームを採用しました。
また、より多くのユーザーに楽しんでもらいたいとの理由から、アプリダウンロードの手間がなく気軽に利用できるウェブARを活用したとのことです。
ユーザーそれぞれの席で撮影を楽しめるほか、ユーザーの創意工夫でより楽しめる企画にしたいとの観点からもARの導入を決定。
紙の台紙での写真撮影よりもオリジナリティあふれる投稿が増えるという期待もありました。
SNSでは実際にARフォトスタンドで撮影した多くの写真が投稿されました。
また、管理画面上でも実際にどのくらいのユーザーにARを体験してもらったのか詳細がわかるツール「LESSAR」を使用したことで、1人当たり平均2、3回ARを体験してもらえたとの成果がわかりました。
キャンペーン期間中のARのアクセス数は13万PVに、そしてAR体験は5万人以上にまでのぼったとのことです。
参照:「タリーズコーヒーのトムとジェリーコラボキャンペーンにてARを使った店舗体験企画を実施。5万人以上がARを体験し、ARのアクセス数は13万PV!」
家具・不動産分野における活用事例では、スウェーデン発祥の家具量販店「IKEA(イケア)」についてご紹介します。
IKEAでは、早くも2012年からARを導入した実験が行われており、現在ARを活用したアプリ「IKEA Place」がリリースされています。
本アプリでは、約2000点というIKEAのほぼ全ての製品が掲載されたカタログから気になる商品をタップし、表示させたい場所にスマートフォンをかざすだけで、画面越しにリアルな商品を表示することができるというもので、購入前に商品をチェックすることが可能です。
ARを活用することで、家具を購入する過程で生じるストレスを軽減することができ、家具の購入をより快適にします。
現実世界にデジタル情報を表示することができるというARの強みを利用することで、自身の部屋の中で家具を試すことができ、サイズ感や色味・質感だけでなく、壁紙や他のインテリアとの相性などもチェックすることができます。
開発当時から非常に精度が上がった本アプリでは、3D家具の98%は正確な大きさで再現することができるほか、商品の生地や光と影の加減もとてもリアルに表現できるそうです。
参照:「IKEA Place」
参考:ECサイトでのAR活用方法とは?バーチャル試着や家具の試し置きでの活用、導入事例も紹介!
スポーツ・スタジアム分野では、ヴィッセル神戸の選手が登場するゲーム「Catch the Spirit! by Rakuten 巨大選手現る!?スペシャルARゲーム」をご紹介します。
日本の兵庫県神戸市をホームタウンとする、Jリーグに加盟するサッカーチーム「ヴィッセル神戸」は、巨大になったヴィッセル神戸の選手が登場するゲームをリリースし、これまでにない形で試合観戦を盛り上げています。
ヴィッセル神戸では、試合が行われるノエビアスタジアム神戸の正面エントランス上に設置されている看板に、スマートフォンをかざすことで体験できるARゲームを公開しました。
本施策においてユーザーは、自身のスマートフォンなどで特設サイトにアクセスし、起動したARカメラを看板にかざすことで、画面上に巨大化したヴィッセル神戸の選手が出現するARゲームを楽しめます。
選手から繰り出されるメッセージボールをタップしてタイミングよくキャッチし、成功したら選手からメッセージをもらうことができる本ゲームは、成功画面をスクリーンショットで撮影してSNSに投稿することで、豪華賞品が当たる抽選に応募することも可能。
AR施策を導入することで、試合に新しく付加価値を与えることができ、顧客満足度の向上が期待できることに加え、拡散によるプロモーション効果も見込めます。
参照:「ARで巨大になったヴィッセル神戸の選手が出現する!?ウェブARゲーム「Catch the Spirit! by Rakuten 巨大選手現る!?スペシャルARゲーム」公開」
ARについて具体的な事例を見てきましたが、実際にビジネスで活用するにはどうしたらいいのでしょうか?
方法としては「AR開発キットを使って開発する」か「ARを簡単に作成できるツールを使う」の2通りがあります。
現在はXRの開発に注力している企業がクリエイター向けのAR開発キットを提供しており、一部無償で利用できるものも登場しているため、うまく活用すると良いでしょう。
以下ではARをビジネスで活用する方法について詳しく解説します。
AR開発キットとは、AR体験やARアプリを開発することができるフレームワークです。3つの有名なARキット「ARkit by Apple」「ARcore」「8th wall」についてご紹介します。
「ARkit」とは、Appleが開発者向けに提供しているiOS端末向けのAR機能及びフレームワークです。
本フレームワークを使用して開発したARアプリでは、専用のデバイスがなくても、iPadやiPhoneの単眼カメラを利用してAR体験を楽しめます。
ARkitを活用することで、
・iPadやiPhoneのカメラで現実空間を認識し、目の前の空間にデジタル情報を表示させることが可能
・室内の光や太陽など現実空間の環境光、物の大きさなどを測定することも可能
これによりリアルなAR体験を提供することが可能です。
例えば、自身の部屋に3Dの家具を設置し、家具の大きさや色味、質感をスマートフォンの画面上でリアルに確認できるようになります。
メジャーなどで計測する手間が省ける上、他のインテリアや壁紙との組み合わせもチェックできるのが大きな魅力です。
ARcoreとは、Googleが開発者向けに提供しているAndroid端末向けのAR機能及びフレームワークです。
ARcoreも専用のデバイスなどの追加機器が不要で、Android端末だけで現実空間を認識することができ、気軽に楽しめるAR体験を提供することができます。
従来ARアプリを開発するには、企業からライセンスを購入する必要がありましたが、
ARcoreを活用するのに必要なソフトのほとんどはGoogle ARに公開されており、無料でARフレームワークを利用できるのが大きなメリットです。
ARcoreを活用することで、ARセルフィーやモーショントラッキング、水平面やオブジェクトの認識を行うことができます。
例えば、
・現実空間にある机や地面の上に指定した3Dキャラクターを出現させて、まるで目の前にいるような臨場感のある体験を提供
・ユーザーはAndroid端末の画面越しに動くキャラクターを観察したり、一緒に写真撮影を行なったりする
ということが可能です。
無料でリッチなAR体験を実装することができるのは、ARcoreの大きな魅力です。
8th wallとは、ウェブARを作成できる開発プラットフォームです。
上記の2つとは異なり、8th Wallの公式HPにてアカウントを作成するだけで、「ウェブAR」のコンテンツを作成することができます。
8th Wallには多くのアシスタントツールやデモが用意されているので、初めてARコンテンツを作る開発者にもおすすめの入門ツールです。
簡単に利用しながら本格的なARコンテンツを作成できるため、AR開発者にとっては利用しやすいツールといえるでしょう。
「ARのこと、興味あるけど自社で開発はできない!」という方に朗報です。
実はコンテンツさえ準備すれば、3ステップでARを体験できるようになるツールが提供されています。
無料から始められるツールもいくつかあり、その中で導入社数の多いARプロモーションツール「COCOAR(ココアル)」と「LESSAR(レッサー)」をご紹介いたします。
ARプロモーションツール「COCOAR(ココアル)」とは、ARを活用したプロモーションを行うためのアプリ型ツールです。2013年からサービス提供されており、2022年12月現在までに7,100社以上に導入されています。
無料の素材が用意されているほか、写真をもとに3Dを生成する機能が搭載されており、誰でも簡単に3D作成〜AR作成を行うことができます。
他にもスタンプラリー機能やGPS機能、ランダム表示機能など、プロモーション・企画に役立つ機能が満載です。
さらに施策の実施後にはログ情報を確認できるため、体験ログやユーザー属性などから効果を測定し、継続的にプロモーションの質を高めていくことができます。
ずっと無料で使用することも可能ですが、後から必要な分だけ課金することもできるなど自由度が高いのも特徴です。サポートも充実しているため、迷われている方もまずは一度利用してみることをおすすめします。
参考:【公式】「COCOAR(ココアル)」
ウェブAR・ブラウザAR「LESSAR(レッサー)」は、無料から簡単にウェブARを作成できるクラウドサービスです。7200社もの導入実績があり、多くの企業で利用されています。
LESSARを利用すれば、わずか3ステップで誰でも簡単にウェブARを作成することが可能です。
ウェブARは専用のアプリをダウンロードする必要がなく、マーカーを読み取るだけで楽しめるため体験までのハードルが低いというメリットがあり、飲食・食品メーカー系の企業や、SNSを絡めた企画での活用が多い傾向にあります。
ARを体験させたい、というよりかは、SNSと絡めたキャンペーンへの参加者増加、プロモーション・販促におけるファンのエンゲージメントを向上させるといった目的のために活用されています。
他にも、スタンプラリー機能やGPS機能、身体認識機能など、プロモーション・企画に役立つ機能が満載です。
またCOCOAR同様、体験ログまでチェックすることができるため、ユーザーの反応を分析してさらにコンテンツを改善し、より魅力的なプロモーションを実現できます。期限なくずっと無料で利用できるのもLESSARの大きな魅力です。
参考:【公式】「LESSAR(レッサー)」
本記事ではARについて網羅的に解説しました。ARはVR/MRと比較して、BtoC企業でもBtoB企業でも幅広く活用できる技術です。
無料キットでもARコンテンツの作成はできますが、相当な技術力が必要になるため、初めてAR導入を試す際には簡単に試すことができるARツールを使うことをおすすめします。
ARコンテンツは日常との親和性が高く、現在もあらゆる施策に導入され始めており、今後さらに幅広い分野で活躍することが期待されています。
業界ごとに様々な活用方法があるので、まずは自社業界での活用事例を見つける、あるいは無料で試してみるのはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
導入実績7,100社以上を誇るARプロモーションツール「COCOAR(ココアル)」のプロダクトチームが運営。 2012年からARアプリ「COCOAR」をはじめ、ウェブAR「LESSAR」を開発・提供しているクラウドサーカスが保有する「AR」に関するお役立ち情報を配信しています。
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