今回は、東村山タウンマネジメント様が東村山市にて開催した、チャットボット「IZANAI」とAR「COCOAR」を活用したデジタルスタンプラリー「SDGsで発見?!カセキホリアドベンチャー」に伺いました。
内容まとめ
✔東村山市内における環境保全及びSDGsの意識啓発及び理解促進を目的に、ARを活用したデジタルスタンプラリー「SDGsで発見?!カセキホリアドベンチャー」を開催
✔エコライフフェアのテーマである『SDGsへの理解』と『楽しかった思い出の醸成』をマストとしつつ、クイズ(学び)×スタンプラリー(遊び)をコンセプトに企画を設計
✔チャットボット「IZANAI」でSDGsクイズに回答後、ARアプリ「COCOAR」でマーカーをスキャンすることで、3Dの動くリアルな恐竜を”自分の手で”掘り起こす体験ができる
✔来場世帯数の40%が参加!また満足度を示す「撮影率」が30%、離脱率は4%と目標以上の数値を記録し、ARコンテンツへの高い熱狂度・満足度の高さが伺えた
「東村山タウンマネジメント株式会社」は、東村山市・ENEOS株式会社・アジア航測株式会社の出資により設立された株式会社です。市と様々なノウハウを持つ民間事業者が連携し、東村山市のまちづくりのための事業を展開しています。
2022年にはAR技術を活用したまちづくり事業の第一弾として、デジタルデバイドの解消や市内活性化を目的に、ARであそぶ東村山市内スタンプラリー「どっとおにVS勇者〜デジタル世界で大決戦~」を開催しました。
令和5年11月26日(日)に、秋水園では、各団体の取り組みの紹介や体験型のイベント等を通じて、子どもから大人まで楽しみながら環境やごみについて学べる、環境啓発及び3R推進イベント『エコライフフェア』が開催されました。
東村山タウンマネジメント様の「SDGsで発見?!カセキホリアドベンチャー」は、同イベント内のアクティビティとして実施されました。『SDGsのクイズに答え化石発掘を手伝う』というクイズ(学び)×スタンプラリー(遊び)をコンセプトに企画・実施され、チャットボット「IZANAI」とARアプリ「COCOAR」をご活用いただいています。
「SDGsで発見?!カセキホリアドベンチャー」は、チャットボット「IZANAI」を通して、恐竜博士と会話するところからスタートし、SDGsに関するクイズに答えて正解すると、13個のマーカーのうち、恐竜がいる3つの「当たりマーカー」を教えてくれるという内容です。
その後、ARアプリ「COCOAR」をダウンロードして実際に「当たりマーカー」を探しに行き、マーカーにアプリをかざして出現した岩を砕くことでティラノサウルス等の3体の化石と3Dの動く恐竜が目の前に実際に出現したような体験を楽しめます。
3つの恐竜を集めると、オリジナルの恐竜カードをゲットができるため、子供も大人も楽しみながらSDGsについて学ぶことができる企画です。
本企画の目的は、東村山市内における情報格差の撤廃やSDGs関連の取り組みへの理解促進です。東村山タウンマネジメント様は、2022年には『高齢者×孫』の構図で1か月間のリアルイベント「どっとおにvs勇者」を実施し、2023年に実施された今回の企画は『親×子供』の構図でエコライフフェア内イベントで『カセキホリアドベンチャー』を実施しました。
同イベントは、「エコライフフェア」というイベント内の企画且つ1日のみの開催であるため、「Interest/Desire」という2つの軸を元に企画を設計しました(「Interest:参加したくなるテーマとアイキャッチ」「Desire:地域通貨ポイント」)。特にイベントの参加属性から、参加する子供に「アレをやりたい」と思ってもらえるトリガーを、前者のビジュアル的訴求で作ることを非常に重要視して取り組みました。
また、最も重要なKPIについて「イベント参加者の20%がTGである」と仮定し、そこからの参加率を20%で設定した『参加人数』を設定しました。
興味を喚起とする要因として「恐竜」を企画コンセプトに据え、そのキャラクターを活用した「カードゲーム」でインセンティブを設計。
2022年に開催したAR企画「どっとおに」において、『周知』が不十分だったという反省点を活かし、市主催のイベントとの連携を図ることで市の広報報やSNS等でも周知を図れたこと、また子どもや子育て世代の口コミでの広がりを期待して、学校と保育園にポスターを掲示するなど、周知を徹底することでアテンションの面を最大化しました。実際の企画は『SDGsのクイズに答え化石発掘を手伝う』というクイズ(学び)×スタンプラリー(遊び)の設計となっています。
エコライフフェアのテーマである『SDGsへの理解』と『楽しかった思い出の醸成』をマストとしつつ、デジタル推進/データの観測/地域通貨アプリのダウンロードなど、複合的な視点から設計していきました。
企画の設計においてこだわったものは、「テーマ設定/アイキャッチとコピー/コンテンツ」。また、想定していた課題には、「オペレーションの緩和/参加ハードルの緩和/企画完了率の測定/参加率の観測方法等」がありました。
基本的には『複雑化』を指せず以下の画像のような運用イメージの内容で進めていき、オペレーションに関しては、botである程度自動化できるかをテストしました。
会場での実際のAR体験の流れについて紹介します。テントが並ぶ中のいちブースとして出展しました。
体験導線は、先述したようにチャットボット「IZANAI」からARアプリ「COCOAR」を利用してもらうという流れです。
チャットボット「IZANAI」で恐竜博士と会話するところからスタートし、SDGsに関するクイズに正解することで、13個のマーカーのうち、恐竜がいる3つの「当たりマーカー」を教えてくれます。チャット形式でSDGsについて楽しく学びながら進めることが可能です。
その後、ARアプリ「COCOAR」をダウンロードし、実際に「当たりマーカー」を見つけに行く冒険へ出発します。当たりマーカーを見つけたら、COCOARアプリを起動したスマートフォンをかざします。
すると、スマートフォンの画面越しに岩が出現するので、その岩を砕くことで「ティラノサウルスの化石」と3Dの動くリアルな恐竜が現れます。
3つの恐竜を集めると、オリジナルの恐竜カードをゲットすることができます。
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ログデータを元に、施策の結果についてみていきましょう。
当初、想定の参加人数は全体来場者が3,000人、TG層が20%。そこから20%のユーザーを獲得するとして、120世帯を想定していました。
実際のイベントでは『寒さ』『インフルエンザによる近隣小学校の学級閉鎖』などの外部要因が影響し、来場者は800人程。そのうち世帯数で見ると、約40%が参加(実来場者数でみると14%ほど)となりました。参加傾向としては家族での参加が多く、各家族あたり1端末での参加が多く見受けられました。
施策の結果として特筆すべきは、ログデータが上下せずに常に高い数値をキープし続けたことです。エコライフフェアが10時〜14時30分までのイベントだったということもあり、再生のログデータオンタイムに下がることなく高い数値を記録しました。実際にブースには常に人がいる状態で、13時40分頃から落ち着きを見せました。
また、3か所の恐竜を集めればクリアではあるものの、平均表示回数は5.3箇所であり、企画を楽しんでもらっている事実もログから読み解けます。
435回の表示に対してタップ回数(化石堀のアクション数)は7,314回となっており、1回あたり14〜15回の画面をタップしてくれています。
実際は「4回のタップ」で化石が割れるものの、その3〜4倍のタップ数は『熱狂的化石堀調査隊』が多かったことを示しています。「タップ回数=熱狂度」として測ることができるため、ARコンテンツそのものを楽しんでくれていることがわかります。
またスタンプラリーを実施した場合『撮影率』はスタンプを集める事が優先され「10-20%」が平均値となる事が多いですが、今回435再生に対して119回の撮影となっており撮影率は30.1%とこちらもコンテンツへの熱狂度、イベント体験の満足度の高さが伺えます。
施策結果の要因についてみていきましょう。
800人の集客に対して117世帯(端末)316人の参加があり、非常に多くの方に参加頂く結果となりました。
この結果は『コンセプト×デザイン』の力が大きいと推察できます。恐竜という要素が足を止めるキッカケとなり、またポスターやインセンティブとして提供していたカードゲームのデザイン性も魅力に感じてくれていたため、参加のハードルとなりやすい「アプリダウンロード」が全く離脱要因にならなかったのも大きな要因です。子供の「やりたい」という欲求は最強であるといえます。
熱狂と言っても良いほどの体験アクション数や、3か所完結にも関わらずに5.4箇所の回遊数も記録しており、参加者が『カセキホリ』を楽しんでくれていたことがわかります。この結果は『AR×UXデザイン』の力が大きかったと推察できます。
ARによって、本来は会うことができない『恐竜との出会いを実現』(体験の拡張)し、物語の1人としてカセキを掘るアクション性で『成功体験』を構築したのが本企画成功のポイントです。「子供が喜ぶ体験」は親にとっても良い体験になります。
時間を問わず、イベント自体に参加者が流動的に訪れてくれていたという点が最も大きな要因ではあるものの、『友達の紹介による参加』が定期的に発生していた点も注目すべきポイントです。これは『インセンティブ×満足度』によるものと推察できます。
特に今回用意した『カードゲーム』は、自宅に帰ってからも遊べるため、イベントを定期的に思い出すキッカケにもなり、想起頻度の向上にも貢献しているといえます。イベントに参加して何かがもらえるって嬉しいですよね。
東村山市の橋本様にお話をお伺いしました。
「参加者には、親御さんのスマホを使って子供と一緒に参加していただきました。積極的に参加してくださり、マーカーを見つけた時は「あったー!」と喜ぶ姿も。恐竜に詳しい子供も多く、子供の興味関心を惹きつけることができました。
子供が「やりたいー!」というと、親御さんはすぐアプリをダウンロードしてくれるため、アプリダウンローはネックではないと感じました。通信量が気になる方には、無料のFreeWi-Fiのご案内も用意しています。
ポスターは小中学校、保育園、児童館など、子供がいるところに協力して掲示してもらいました。しっかり子供の目に入っているのかなと思います。
今後も同じ方向性で実施することで『前見たやつだ!』と継続的に興味をもってくれたり、イベントの満足度をより向上できるようになったりできるかな、と思います」
フォーム入力後、資料をダウンロードできます。
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